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葛藤を抱えながらも新しいものを生んで、そして学ぶんだ。

【読了】『USERS』 - 顧客主義ではなくユーザー主義!

 

 

USERS 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略

USERS 顧客主義の終焉と企業の命運を左右する7つの戦略

 

  ★★★★☆

【個人的な解説】

最初から最後まで、とにかくユーザーファーストでありなさい!という本。すごくアメリカの企業の人が書いた本だなーという感じ。ユーザーファーストであるためにはじゃあどんな組織体制を取るべきで、具体的にはどんな施策を行っていくべきで、というのを豊富な事例とともに解説している。読み終わったときに「ユーザー至上主義」の感覚が身に付いているのと、具体的な行動を示してくれているところはとても良い。組織体制などについては、正直どこまでベンチャー企業などにも当てはまるのか実感が湧かなかったため、自分の観点からすると読み飛ばしても良いかなと思った。WEBビジネスを専門としない人にとっても、このデジタル時代に大事にしたい視点として参考になると思う。

 

【学び(引用中心)】

ユーザーとは

まず、「ユーザー」とは何なのかという問題があるが、本書では「ユーザー」とは、

デジタル・メディアとテクノロジーを通じて企業と交流する人々

とある。

顧客は、もはや「ユーザー」の一部であると著者は言うのだが、それだけユーザーというものを重要なものとして捉えよということだろう。

ユーザーは「デジタル技術」を活用する人であるという限定的な定義となっているが、なぜユーザーはデジタル技術を活用するかというと、それは簡単に素早く「各自の関心や目的を満たす」ためである。

 

そしてユーザーはそのために無駄に頭を悩ませたりはしたくないので、企業はそのユーザーの目的を達成させてあげるために、少しの手間も取らせないために、「ユーザビリティ」をとにかく重視すべきだと言う。さらにそのために、ユーザー中心の経営体制も築こう!と言っているのである。

 

同心円型の組織体制

Facebookが伸びた理由として、「制約」を上げている。あえて、ルールを設けて、その制限のなかでやり取りをさせる。テクノロジーに慣れ親しんでいない人でも簡単にやり取りができるような仕組みを用意しておくこと。

そうすることで、誰もが共通の規格にアクセスすることができる。それをユーザーに対してということだけでなく、社内に適用するのだという。これが、かなり大規模な企業でも、ユーザー中心の、同心円型組織体制を維持することにつながる。

ユザーにとって本当に重要なことに集中し、その他のことはすべて無視するのだ。

 

使い捨てテクノロジー

現代においては、ニーズもユーザー動向も常に変化していくので、

①置換性

②制御可能な相互運用性

③保全性

④更新可能性

⑤拡張性の確保

⑥スピード

の観点を加味して、「使い捨てテクノロジー」を活用すべきであるという。

 

社会的使命に基づいた製品

Diapers.comはおむつを売るビジネスをしているのではない。おやたちの頭痛とストレスを防ぐビジネスをしているのだ。

この例のように、コモディティ化の課題に悩む企業は、

自分たちの商品だけでは満足させることができないユーザー・ニーズを明確に認識し、その要求に応える方法でイノベーションを起こした。

そしてそれらの企業は以下のようなかたちで価値を提供する。

1、「意思決定サービス」を作っている

2、主に提供しているものを補完するサービスを開発している

3、全く新しい提案をするためにアナログ製品とデジタルを組み合わせている

4、差別化のためにデータを使っている

 

ユーティリティ・マーケティング

この章は、最近流行のインバウンド・マーケティング、コンテンツマーケティングなどにも通じる内容。

まず人々がインターネットを利用する理由とは、

1、「何かを見つけたい、または何かをしたい」

2、「最新情報を教えてほしい」

という二つ。そういったユーザーの「役に立つ」、そしてその延長線上で購買意欲を掻き立てるということがユーティリティ・マーケティングである。

なぜならユーザーは、

ただ広告を見るだけの立場にいるのではなく、企業と関わりを持って企業のもたらす利便性や長所を評価しつつ、それをソーシャルネットワークでシェア 

するような存在である。

そしてユーザーが1・2を満たそうというとき、検索エンジンのような「フィルタ」、ユーザーへの有益なコンテンツを提供する「ディスティネーションサイト」、企業からの情報を受け取るためのメールボックスFacebookというところで企業との接点を持つ事になる。

そこで、ユーザーに問題解決のためのツールやサービスを提供し、好意を持ってブランドに触れてもらうことが重要だという。(「ブランド・ユーティリティ」)

 

TCPFセールス=ユーザーを顧客に変える

以下のポイントを軸に、「競合と比べてなぜその企業で買わなければならないのか」を明確にすること。

信用 Trust・・・標準化、単純化、拡大化

利便性 Convenience・・・ユーザー・フレンドリー

価格 Price

楽しさ Fun

 

ハイブリット・カスタマーサービス

セルフ・サービスとフル・サービス

顧客には、何でも自分で解決したいタイプの人と、とにかく人にお願いしたいタイプの人とがいるのでその両極端に対応できるサポート体制を用意しておこうという話である。

前者(セルフ・サービス)の場合は、FAQ、サポート・フォーラムと掲示板などの機能を設け、後者(フル・サービス)には、連絡先を目立たせたり、ソーシャルメディアを活用したりということが考えられる。

 

【雑感】

わかっているようでちゃんとは腹落ちしていなかったようなことを、論理立てて説明してくれている。前半の組織などの話は、すぐに実践しようと思ってできるものでもないが、後半の方はWEBサービス運営者などにとっては、意識すると役立ちそうなことも多い。

ユーザーの重要性というところ、そして特定の行動をとるユーザーと企業はどう向き合えばいいのかというところに関しては、たびたびこの本を読んで身にしみ込ませたいと思う。