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葛藤を抱えながらも新しいものを生んで、そして学ぶんだ。

【読了】『ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則』—”誰をバスに乗せるか”

 

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則

 

 ★★★☆☆

 【個人的な解説】

これは、各章の終わりにあるまとめを読めばOKだと思います。こんなに分厚いのは、事例がたくさんだから・・・。事例を読んだほうがもちろん理解は深まりますが。ビジョナリーカンパニーシリーズの他の本は読んでいないのですが、この本は、飛躍的に伸びている成功している企業の特徴をまとめたものです。膨大な企業データベースから成功と言えるための条件を満たした企業を11社ピックアップし、その企業らに共通する特徴をこれまた熱心に分析してわかった意外な事実を述べています。研究に基づく本のわりには、とても平易な文章で読みやすいと思います。ビジョナリーカンパニーと聞くと、ビジョンこそ大事!と言っている本なのかと思いましたが、全然違いました。

 

【学び(主に引用)】

第二章 野心は会社のために

指導者は謙虚な性格の持ち主だが、職業人として意思が強い

成功企業の指導者は、意外と謙虚な人柄らしいです。成功をひけらかすことはせず、成功は幸運のおかげだと考えます。カリスマ性を持っているというよりは、静かに決意を持って行動するタイプだそう。

一方、どんなに困難でも必要なことは全て実行していく強い意思を持ち、定めた基準を満たせない場合は決して満足しない。結果が出ないときには自分に原因ありと考えるとのこと。

 

第三章 誰をバスに乗せるか

  • 成功企業は、「だれを選ぶか」をまず決めて、その後に「何をすべきか」決める

  • 「一人の天才を一千人で支える」方式では、天才が退けば崩れる

  • 以下のようなスタンスを持つ

1)疑問があれば採用せず人材をさがし続ける
2)人を入れかえる必要を感じた際には、まず座っている席が悪いだけなのか確認する
3)最高の人材は最高の機会の追求にあてる

  • 成功企業は、議論の末会社としての方針が決まれば、自分が担当する部門の利害を超えて決定を全面的に支持する人たちで構成されている

 

第四章 最後には必ず勝つ

  • 厳しい事実を直視することが大事。もっとも厳しい事実に目を向け取り組む
  • そのために、上司が意見を聞く機会、真実に耳を傾ける機会が十分にある企業文化をつくる。そのために、、

・答えではなく質問によって指導する
・対話と論争を行い、強制はしない
・解剖を行い、非難はしない。
・入手した情報を無視できない情報に変える赤旗の仕組みをつくる 

  • 経営者がカリスマ的な存在であると、部下が厳しい現実を報告しづらい
  • リーダーシップ:人々が厳しい現実を直視し行動するよう促す
  • どうすれば従業員の意欲を引き出せるか、ではなく適正な人がバスにのっていれば全員意欲をもっている。人々の意欲を挫かないようにするにはどうするかを考える 

 

第五章 単純明快な戦略

  • <情熱をもって取り組めるもの>、<経済的原動力になるもの>、<自社が世界一になれる部分>の三つが重なる部分を理解し、単純明快な概念を確率する必要がある。
  • 自社が世界一になれる部分、なれない部分を理解する
  • 成功企業は肝心要の点を理解して目標・戦略を策定しており、一貫性がある。

 

第六章 人ではなくシステムを管理する

  • <情熱をもって取り組めるもの>、<経済的原動力になるもの>、<自社が世界一になれる部分>を熱狂的ともいえるほど重視する人たちが集まり、自ら規律ある行動をとるような企業文化を作り上げる
  • 適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスからおろせば、組織を窒息させる官僚制度は不要

 

第七章 新技術にふりまわされない

  • 成功企業は技術の流行に乗るのをさけているが、慎重に選んだ分野の技術の利用で先駆者になっている
  • その技術が自社の、<情熱をもって取り組めるもの>、<経済的原動力になるもの>、<自社が世界一になれる部分>から導きだされた概念に適合しているかどうかを問え

 

第八章 劇的な転換はゆっくり進む

  • 偉大な企業への飛躍が一気に達成されることはない。長期にわたって一貫性をもたせて一つの方向に押し続けることでやがて突破段階に入る。
  • 条件が上手く整えば、意欲や力の結集や同期付け、改革への指示の問題は自然に解決する。そこに無駄に労力を割かない。

 

【雑感】

めちゃめちゃ成功している人も悩みを抱えて試行錯誤して生きているように、企業も劇的に成長しているようにみえても実はただならぬ努力が背景にあるというコトなんだと思います。でも、成功の条件にはマネジメントのやり方云々というよりも、企業文化で、企業文化は無理矢理作り出すものではなく、「バスに乗せるべき人」を乗せていくことによって醸成されてくる。ダイバーシティを認めよということはありつつも、理想の企業文化を生み出していくために人の採用で妥協してはならないというのは、頭に入れておきたいと思いました。